早いもので2021年もあっという間に10月、ふと気づけば残り3か月を切ってしまいました。
秋も深まる11月になると、パナマはそろそろ乾季を迎え、そう、2022年度のコセーチャ(収穫)が始まります。
毎年恒例の品評会ベスト・オブ・パナマも無事終了し、その年度の買い付けと入荷が一段落するこの時期、少し気が早く思われるかもしれませんが、私たち生豆輸入商は来年度に頭を切り替えなくてはいけません。
今期評価の高かった品種、お客様から要望をいただく品種が、来期も高い品質でさらに十分な量が確保できるか、また収穫やプロセスが順調に進んでいるか、日々現地と密に会話をし、さまざまな情報を収集しながらその年の買い付けを進めていきます。
振り返れば昨年と今年は、ご存知のようにコロナの影響と、異常気象による予期せぬ災害で、例年になく収穫量が少なくなり、またプロセス、現地の物流に至るまで、絶えず油断のできない状況が続いたため、こちらも非常にシビアな買い付けを強いられていました。
そんな中、ゲイシャはもちろん、とくにパナマでも品薄と言われていたトラディショナル品種を中心に、各農園主の並々ならぬ協力のおかげで、最高品質の、またバラエティのあるロットを輸入することができました。
今期「初お目見え」となったロットから順番に紹介してまいります。
エスメラルダ ダイアモンドマウンテン カトゥアイ ウォッシュト 32S
Hacienda La Esmeralda
Catuai Washed Diamond Mountain 32S
おなじみエスメラルダが収穫する代表的な2農園、ハラミージョ Jaramilloとカーニャス・ベルデス Cañas Verdesからセレクトしたカトゥアイのウォッシュトです。
この農園は毎年、ゲイシャのPrivate Collectionの早いロットと、Specialでもさらにエクストリームな秘蔵ロットを(かなりしつこくねだって)入荷しているため、これまでこのトラディショナルにはあまり気にかけていなかったのが正直なところです。
実際、Diamond Mountainは早い時期にとっとと売り切れてしまう人気コレクションですので、毎度お世話になっているレイチェル・ピーターソン女史から「なぜか今年はDiamond Mountainが最後に残っているんだけど」とオファーがあった時には、ちょっと新鮮な感覚を憶え、ついその勢いで残りを確保することにした次第です。
さて、気になる内容ですが、D.M.といえども、さすがのレイチェル氏が自らイチオシとあって、ブレンドではなくシングルオリジン(Catuai)の特別感が漂っています。
「Catuai Washed Diamond Mountain 32S」というタイトルのこのロット、送られてきたより詳細な肩書は以下です。
"Catuai Diamond Mountain, Gonzalez lot, 3rd Harvest, Yeast Ferment Slow Dry"
今期3回目(3ラウンド目)で収穫されたカトゥアイで、ロット名「ゴンサーレス」、ウォッシュトプロセス、発酵後(あえてゆっくり)時間をかけて乾燥させたプロセス、といったところでしょうか。
昨年あたりからパナマの各農園、カトゥアイやカトゥーラでも、プロセスによってチェリー本来のアロマと、各農園の個性(テロワール)が良い意味で強調され、コーヒーの風味そのものの進化を感じさせる素晴らしい品種が多く出てきています。
今年からエスメラルダのゲイシャは、「1500」のグレードが廃止され、Private Collection以上のグレードのみ、つまり全体のクオリティが格上げされたわけですが、トラディショナル品種も同様に、より選別し、それぞれ個性に磨きをかけ、全体のクオリティを上げてきているのでしょう。
「ゲイシャが私たちパナマコーヒー生産者にイノベーションをもたらした」と言っていた本人レイチェル・ピーターソンと、ファミリーの「お家芸」である、あくなき改良と実践が、またひとつ、従来のトラディショナル品種のクオリティを格段に際立たせ、そのブランドに新たな風格を与えたような印象を受けます。
これまでにない明らかな個性と、インパクトのあるアロマ。ゲイシャとはまた違ったパナマコーヒー=トラディショナル品種の、ずば抜けたクオリティと豊かさを実感、そして発見していただける「新たなスタンダード」を試してみてはいかがでしょうか。
※エスメラルダ カトゥアイ ウォッシュト ダイアモンドマウンテン32S 2021年度新入荷
以下お問い合わせフォームよりご注文を承ります。
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